
「自分の部屋は、ゴミ屋敷と呼べるレベルなのか」「実家がどんどん散らかっているが、まだ自力でなんとかなる段階か」——検索で「ゴミ屋敷 レベル」と調べる方の多くは、まず現状を客観的に把握したいと思っています。
先に結論を言うと、国や自治体が定めた「レベル1〜10」のような公式の数値尺度は存在しません。片付け業者のサイトでよく見る5段階や、「レベルmax」「レベル10」といった言い方は、状態をイメージしやすくするための目安・誇張表現です。行政がごみ屋敷条例の対象かを判断するときに見ているのは、番号ではなく周辺住民への影響、悪臭・害虫の有無、物の量と種類です(環境省の令和6年度調査)。
ここでは、公的な判断軸と、巷でよく使われる段階の目安を整理し、「自分で片付けられる境目」をセルフチェックできるようにします。費用の話には踏み込みません(ゴミ屋敷の片付け費用にまとめています)。
「ゴミ屋敷」に明確な定義はあるのか
「ごみ屋敷」という言葉に、全国共通の法的な定義はありません。対応の枠組みは各自治体の条例に委ねられていて、環境省の令和6年度調査(全国1,741市区町村が回答)では、**ごみ屋敷対策の条例を「制定済み」と答えたのは90市区町村(5.2%)**にとどまります。福井県内で条例を制定している市町村は0です。
条例を持つ自治体のごみ屋敷の定義は、たとえば次のように書かれています。
住宅等において、ごみその他の物品が堆積し、又は散乱した状態であって、悪臭もしくははえ、ごきぶりその他の害虫が発生し、又は当該物品の崩落もしくは火災発生のおそれがある状態その他の生活環境が著しく損なわれている状態
つまり公的な線引きは「物の量が何立方メートル」「高さが何センチ」ではなく、〈物の堆積〉が原因で〈悪臭・害虫・崩落・火災のおそれ〉が生じ、〈生活環境が著しく損なわれている〉かどうかという状態で判断されます。
一方、ネットや業者サイトでよく使われる「レベル1〜5」「レベルmax」「レベル10」といった段階は、公式なものではありません。状態を伝えやすくするための便宜的な目安であり、「レベル10」は「家の外まで溢れているような極端な状態」を指す俗称と考えてください。
レベル別の状態チェック(よく使われる5段階の目安)
公式ではありませんが、複数の片付け業者の記事でおおむね共通している段階の目安は次のとおりです。自分や家族の家がどのあたりかを見るための「ものさし」として使ってください。
| 目安 | 部屋の状態 | ごみの高さの目安 | 生活への影響 |
|---|---|---|---|
| 1(軽度) | 床は見えるが、袋・空き容器・雑誌などが散らばる | 床置き程度 | 片付ければすぐ戻せる。掃除機はかけにくい |
| 2 | 床の大部分が埋まり、足の踏み場が限られる | 足首〜膝下 | 掃除ができない。物を探すのに時間がかかる |
| 3 | 床全体がごみで埋まり、素足で歩けない。軽い悪臭 | 膝〜腰 | 生活動線が塞がる。害虫が出始める |
| 4 | 数か月放置され、強い悪臭。害虫を毎日見る | 腰〜胸 | 換気ができない。寝る場所・調理場所が使えない |
| 5(重度) | 天井近くまで積み上がる。屋外にも溢れ、近隣から苦情 | 胸〜天井 | 生活動作が成り立たない。火災・崩落の危険 |
番号にこだわる必要はありません。「安全に寝起きできるか」「悪臭や害虫が出ていないか」「一人で片付けられそうか」——この3点のほうが実際の判断には役立ちます。
レベルが上がるほど増えるリスク
段階が上がると、片付けの手間だけでなく、次のリスクが積み重なります。
- 害虫・害獣 ゴキブリ、ハエ、ネズミが発生・繁殖する。近隣にも及ぶ
- 悪臭 生ごみや排水の腐敗臭が屋外に漏れ、窓を開けられなくなる
- 健康被害 カビやダニによるアレルギー、ほこりによる呼吸器の不調
- 火災・崩落 積み上がった物が暖房器具やコンセントに接触する。地震で崩れる
- 近隣トラブル 環境省の調査でも、行政がごみ屋敷を把握するきっかけの**89.6%が「市民からの通報・情報提供」**です。つまり、周囲は気づいています
- 賃貸の場合の費用 退去時の原状回復費用が上がり、害虫・悪臭が他室に及ぶと契約解除を求められることもあります
行政が条例の対象かを判断する際に最も重視しているのも、周辺住民等への影響(92.2%)、次いで悪臭・害虫等の有無(74.4%)、物の量(66.7%)でした。裏を返せば、「他人に迷惑が及び始めているか」が一つの分岐点です。
自分でできるレベルの境目(セルフチェック)
次のうち、いくつ当てはまるかを数えてください。行政がごみ屋敷を判断するときの視点(安全・衛生・周囲への影響)にそっています。
安全
- 玄関や窓など、避難できる出入口がごみでふさがっている
- 積み上がった物が、暖房器具・コンセント・ガスコンロの近くにある
- 寝る場所・調理する場所が、物で使えなくなっている
衛生
- ゴキブリ・ハエ・ネズミを、室内で毎日のように見る
- 生ごみや排水の腐敗臭がして、窓を開けても消えない
- カビが壁や床に広がっている
周囲・時間
- ベランダ・玄関前・庭など、屋外にも物が溢れている
- 近隣から苦情を言われた、または管理会社・大家から連絡が来た
- この状態が数か月以上続いている、または片付けようとして体調やけがで断念した
判定の目安
- 0〜2個 自力で片付けられる可能性が高い。まず1か所から始める
- 3〜5個 一人では厳しい。家族や自治体の相談窓口に声をかける
- 6個以上 安全・衛生の面で危険。無理をせず、許可を持つ業者に相談する
何から手をつけるか
「どこから片付けるか」で止まってしまう方が多いので、順番の考え方を示します。
- 動線と出入口を最優先で確保する 玄関から一番奥の部屋まで、人が歩ける幅の通路を作る。安全のため最初にやること
- 明らかなごみから出す ペットボトル、空き容器、期限切れの食品、DM・チラシ。判断に迷わないものだけを袋に詰める
- 1日1袋・1か所と決める 全部やろうとすると続きません。「今日はキッチンのシンク周りだけ」と範囲を区切る
- 貴重品・書類は別の箱に 通帳・印鑑・保険証券・現金・鍵・写真は、捨てる前に必ず取り分ける
- 粗大ごみは事前予約 福井市なら電話(0776-35-0052)かオンラインで予約。1点あたり小605円・中770円・大935円、1回5点まで、玄関先まで自分で出す、収集は平日のみ
道具の準備、1日の進め方、リバウンド防止まで含めた具体的な手順はゴミ屋敷を一人で片付ける手順にまとめています。
途中で「一人では終わらない」と感じたら、その時点で相談に切り替えて構いません。判断に迷うときはチャット・フォームでの相談から、部屋の写真と状況を送っていただければ、自分でできる範囲か、業者が必要な範囲かの見立てをお伝えします。お名前・電話番号は不要です(返信用にメールアドレスだけいただきます)。
福井で相談できる窓口
福井県内には、ごみ屋敷に特化した条例や専用の支援制度はありません(環境省の令和6年度調査で、県内の条例制定は0)。参考までに、都道府県別の認知件数で福井県は7件と、全国でも少ない部類です。ただし「認知されていない」だけで問題がないとは限らず、相談は次の窓口が受け付けています。
- ごみ・不用品の処分について 福井市 市民生活部 環境廃棄物対策課(福井市大手3丁目10-1 市役所別館4階、電話0776-20-5398、平日8時30分〜17時15分)
- 高齢・障害・体調で片付けが難しい お住まいの地区の地域包括支援センター、市の福祉の相談窓口。環境省の調査でも、改善につながった対応として「関係部署・関係機関の連携による包括的支援」「親族や地域による清掃」が挙げられており、生活困窮の場合は撤去費用の一部を公的支援でまかなえる事例もあります
- 火災の危険がある 消防署(消防法にもとづく指導の対象になり得ます)
親の家がこの状態で、本人が片付けに同意しない場合の進め方は、別記事で扱います。害虫が多い段階の対処、賃貸の退去との関係についても、順次まとめていきます。まずはゴミ屋敷の片付け費用で、業者に頼んだ場合のめやすを確認できます。業者選びで失敗したくない方は悪質な業者を避ける7つのチェックも参考にしてください。
よくある質問
「ゴミ屋敷 レベルmax」「レベル10」とは公式の段階ですか?
公式の段階ではありません。国や自治体が定めた「レベル1〜10」のような数値尺度は存在せず、これらは片付け業者のブログやネットで使われる誇張表現です。行政が条例の対象かを判断するときに見ているのは、周辺住民への影響、悪臭・害虫の有無、物の量・種類といった点で(環境省調査)、数値のレベルではありません。
自分の部屋・実家はどのレベルですか?
この記事の「レベル別の状態チェック」で、床が見えるか、足の踏み場があるか、悪臭・害虫が出ているか、生活動作ができるか、を目安にしてください。ただし大事なのは番号ではなく「安全に生活できているか」「一人で片付けられそうか」です。判断に迷う場合はセルフチェックリストを使ってください。
どのレベルから業者に頼んだほうがいいですか?
床が全体的に埋まって足の踏み場がない、数か月分のごみで強い悪臭や害虫が出ている、天井近くまで積み上がっている、といった状態は、一人で安全に片付けるのが難しくなります。目安として、セルフチェックで危険サインが3つ以上当てはまる場合は業者への相談を検討してください。費用は間取り・レベル別の費用相場のページにまとめています。
賃貸だとレベルが上がると何が問題になりますか?
退去時の原状回復費用が上がり、害虫や悪臭が他の部屋に及ぶと契約解除を求められることもあります。設備の故障やカビ・腐食が進むほど費用は膨らむため、早い段階で手をつけるほど負担は小さく済みます。
福井にはゴミ屋敷の条例や支援制度はありますか?
環境省の令和6年度調査では、福井県内でごみ屋敷対策の条例を制定している市区町村は0でした。専用の条例はありませんが、ごみに関する相談は福井市環境廃棄物対策課(電話0776-20-5398)が窓口です。高齢や体調で片付けが難しい場合は、地域包括支援センターや福祉の相談窓口も対応します。


