ポストに「不用品を無料で回収します」というチラシが入っていた。軽トラックがスピーカーで「ご家庭で不要になった家電はございませんか」と流しながら家の前を通る。片付けで物が大量に出たとき、こうした業者はつい頼みたくなります。
しかし、家庭から出る不用品を市町村の許可なく回収するのは、廃棄物処理法違反です。無許可営業には5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)が定められています。「無料」のはずが作業後に高額請求された、渡した家財が不法投棄されていた、というトラブルも各地で報告されています。
ここでは、無料をうたう不用品回収のからくり、危ない業者の見分け方、依頼した人が負うリスク、そして福井市で正しく処分・依頼する方法を、市の公式情報と法令にもとづいて整理します。
家庭の不用品を回収できるのは「許可のある業者」だけ
まず、誰が家庭の不用品を回収できるのかを整理します。
家庭から出る不用品は、法律上「一般廃棄物」にあたります。これを集めて運ぶには、その市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です(古紙、古繊維、くず鉄、空きびんを除く)。環境省も、家庭の廃棄物を回収できるのは市区町村の一般廃棄物処理業許可を持つ業者か、市の委託を受けた業者だけで、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できないと明記しています。
「リサイクル業者だから大丈夫」「古物商だから問題ない」という説明は、家庭ごみの回収に関しては成り立ちません。無許可で回収を業として行うと、廃棄物処理法第25条第1項第1号(第7条違反)により、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。法人には両罰規定(第32条)で3億円以下の罰金が定められています。
福井市も公式サイトで「無許可の事業者による不用品(廃棄物)の回収は違法です」と注意を呼びかけ、街宣、ポストへのチラシ配布、電話勧誘、許可の有無が不明な看板・のぼり旗を、無許可業者の手口として挙げています。
では、その無許可業者はなぜ「無料」でやれると言うのか。次に、その仕組みを見ます。
「無料回収」で業者が儲かるしくみ
「無料」をうたう業者は、主に3つの経路で回収します。
- 売れる物を転売する。古い家電、ゲーム機、工具、貴金属、ブランド品などを、フリマアプリや業者間の取引で販売します。
- 金属など有価物を売る。アルミ、鉄、銅、パソコン、小型家電をスクラップ業者へ持ち込み、重さで買い取ってもらいます。
- あとから料金を請求する。積み込んだ後に「作業費」「運搬費」「家電リサイクル料」などの名目で料金を求めます。福井市には「安価な定額パックを申し込んだはずが、作業終了後に高額な料金を請求された」という相談が寄せられています。
転売や金属売却だけでは採算が合わないため、その差を追加請求で埋める業者がいます。つまり「無料」の実態は「後払い」のことがあり、断りにくい状況で金額を提示されるのが問題です。「トラック詰め放題」をうたう業者でも、福井市には「実際の料金やサービスが大きく異なった」という相談が寄せられています。積み込みが終わってから「これは対象外」「サイズ超過」と言われ、想定より高くなる形です。
さらに、許可のない業者が回収した物は、適正に処理される保証がありません。環境省は、無許可業者に渡した物が不法投棄されたり、フロンや鉛などの有害物質が対策なしで放出されたり、電池やプラスチックが原因で運搬中に火災が起きたりするリスクを挙げています。安く見えても、その物がどこへ行くか分からないという点で、無許可業者は割に合いません。
こうした業者は、チラシや車体にいくつかの共通した特徴があります。
危ないチラシ・業者の見分け方
次のいずれかに当てはまるチラシや業者は、利用しないでください。
- 会社名・住所がない、または番地まで書かれていない
- 許可番号がない。家庭ごみを回収する業者は、条例で一般廃棄物収集運搬業の許可番号を車体に表示することになっています
- 連絡先が携帯電話の番号だけ。福井市も、携帯番号のみで許可の有無や事務所所在地、具体的な手数料の記載がないことを無許可業者の特徴として挙げています
- 何を回収できるかの記載がない
- 家電を無料で回収するとうたう。後述のとおり家電4品目はリサイクル料がかかるため、この時点で不自然です
- その場で契約を急がせる
反対に、安全な業者は、会社名・所在地・固定電話を明記し、市の許可番号を示し、訪問して見積もりを取り、回収品目と料金表を公開し、追加料金が発生する条件を先に説明します。業者選びの詳しい基準は悪質業者を避ける7つのチェックにまとめています。手元のチラシが安全か迷ったら、チャットでの相談に写真を送っていただければ、気になる点をお伝えします。
チラシの見分け方が分かったところで、無許可業者に頼んでしまった場合に何が起きるかを確認します。
依頼した人にもリスクがある
無許可業者を利用して困るのは、業者だけではありません。依頼した側にも影響が及びます。
回収された物が山林や空き地に不法投棄された場合、その物から出た書類などをたどって、排出者(回収を依頼した本人)が不法投棄を疑われることがあります。志免町は、この場合、依頼者が疑われた上に、あらためて適正処理の費用を負担することになる可能性があり、不法投棄は犯罪なので罰則が科される恐れもある、と注意しています。
家電4品目は特に注意が必要です。 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。これらを「無料」で引き取るという業者は、正規のリサイクルルートに乗せていない可能性が高く、渡してしまうと不適正処理に加担することになります。
また、家財の中に個人情報が含まれる書類やパソコンがあると、そのまま流出する恐れもあります。
では、福井で不用品を正しく処分・依頼するにはどうすればよいか。次にまとめます。
福井で正しく処分・依頼するには
福井市で不用品を処分する方法は、量と種類で分かれます。
少量なら、自分で出すのが基本です。粗大ごみは福井市の収集資源センターへ搬入する手続きが案内されています。家電4品目は、買い替える店に引き取ってもらうか、指定引取場所へ持ち込みます。市の粗大ごみの出し方は別の記事で詳しくまとめる予定です。
量が多い、または遺品整理・実家じまいでまとめて出る場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者か、許可業者へ処分を委託している遺品整理業者に依頼します。福井市が公開している「一般廃棄物収集運搬許可業者名簿」で、その業者が許可を受けているかを確認できます。多くの遺品整理業者は自社で許可を持たず許可業者へ委託する形をとっているため、委託先が明確かどうかも見積もりのときに質問しておきます。
依頼するときは、作業前に総額と内訳(作業費・処分費・車両費・オプション)が書面で出ること、家電4品目のリサイクル料が別立てで示されること、キャンセルの条件が説明されることを確認します。相見積もりは2〜3社から取り、金額だけでなく説明の丁寧さも比べます。福井で対応している業者は福井の遺品整理業者に、費用のめやすは福井の遺品整理の料金相場にまとめています。福井市内の依頼は福井市の遺品整理も参考になります。
判断に迷うとき、チラシが手元にあって怪しいと感じるとき、見積もりの内訳が分からず不安なときは、チャットでの相談から状況をお送りください。匿名で構いませんし、営業の電話がかかることはありません。無許可業者かどうかの疑問は、福井市 市民生活部環境廃棄物対策課(電話0776-20-5398)でも確認できます。
最後に、すでにトラブルにあってしまった場合の対応を整理します。
トラブルにあったときは
その場で作業後に高額を請求された、頼んでいない物まで持ち去られた、というときは、次のように動きます。
- その場で全額を支払わない。見積書との差額について、内訳を書面で求めます。
- 契約書・見積書・チラシを保管する。業者名、車のナンバー、作業日時をメモします。
- 消費者ホットライン188(局番なし)に相談する。最寄りの消費生活センターにつながり、契約や請求について相談できます。
- 不法投棄が疑われるときは、各市町村の廃棄物担当課へ。福井市なら環境廃棄物対策課です。
- 貴重品の持ち去りなど被害届を検討するときは、警察相談専用電話#9110。
トラブルを避ける一番の方法は、依頼する前に許可の有無と料金の内訳を確認することです。
相談先と確認先の早見表
| 内容 | 連絡先・確認先 |
|---|---|
| 福井市の粗大ごみの出し方・搬入 | 福井市 収集資源センター(市の案内に従う) |
| 無許可業者かどうかの確認 | 福井市 環境廃棄物対策課 電話0776-20-5398 |
| 許可業者かどうかの確認 | 福井市「一般廃棄物収集運搬許可業者名簿」 |
| 高額請求・強引な契約の相談 | 消費者ホットライン 188 |
| 貴重品の持ち去りなど | 警察相談専用 #9110 |
| 不用品の不法投棄の疑い | 各市町村の廃棄物担当課 |
よくある質問
ポストに入っていた「無料回収」のチラシは違法ですか?
チラシを配ること自体が直ちに違法とは限りませんが、家庭から出る不用品(廃棄物)を市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可なく回収すれば、廃棄物処理法違反になります。福井市も「無許可の事業者による不用品の回収は違法」と明記しています。会社名・住所・許可番号の記載がないチラシは、無許可業者の可能性が高いため利用しないでください。
「無料」と言われたのに、なぜあとから請求されるのですか?
売れる物の転売や金属など有価物の売却だけでは採算が合わないため、積み込んだ後に「作業費」「運搬費」「家電リサイクル料」などの名目で料金を求める業者がいます。金額は現場で提示されることが多く、断りにくい状況で高額を請求されるケースが報告されています。作業前に総額が書面で出ない業者は避けてください。
無許可の業者に頼んだ場合、依頼した側も罰せられますか?
回収した物が不法投棄された場合、排出者(依頼した本人)が不法投棄を疑われ、あらためて適正処理の費用を負担することになる可能性があります。不法投棄は犯罪で、状況によっては排出者にも罰則が及ぶ恐れがあると自治体は注意しています。
テレビや冷蔵庫を「無料で引き取る」と言われました。頼んでいいですか?
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。これらを「無料」で引き取るという時点で不自然です。正規のルートは、買い替える店や指定引取場所への持ち込み、または許可のある業者への依頼です。
遺品整理でまとめて不用品が出ます。どこに頼めばいいですか?
量が多い場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者、または許可業者へ処分を委託している遺品整理業者に依頼します。福井市の「一般廃棄物収集運搬許可業者名簿」で許可の有無を確認できます。費用のめやすは費用相場のページ、業者選びの基準は業者の選び方のページにまとめています。