ゴミ屋敷のゴキブリ・ネズミ|駆除と片付け、どちらが先か

公開:2026.09.11更新:2026.09.11杉野龍泉のプロフィール写真監修:杉野龍泉(遺品整理コンサルタント/合同会社CIELIS代表)
ゴミ屋敷のゴキブリ・ネズミ|駆除と片付け、どちらが先かのイメージ

「殺虫剤を撒いたのに、数日たつとまたゴキブリを見る」「バルサンを焚いたのに効いた気がしない」——ゴミ屋敷の害虫対策で、多くの方がぶつかる壁です。

結論から言うと、駆除だけを繰り返しても、餌(生ごみ・食品)と隠れ場所(段ボール・積み重なった物)が残っている限り、害虫やネズミは戻ってきます。ここでは、駆除と片付けのどちらを先にするべきかという現実的な順番と、保健所や自治体に相談できること、においへの対応、福井で頼れる窓口を整理します。

なお、この記事が扱うのは、人が生活している家がゴミ屋敷化して害虫・害獣・においに困っているケースです。室内で人が亡くなったあとの体液や腐敗によるにおいの対処は、別の作業(特殊清掃)になります。特殊清掃の費用と流れを確認してください。

害虫・害獣は「ごみ屋敷の結果」(餌と隠れ場所がある限り戻る)

ごみ屋敷とゴキブリ・ネズミの関係は、原因と結果が逆になりがちです。害虫が湧いたからごみ屋敷になったのではなく、ごみが堆積した結果として害虫・害獣が発生し、居着いているのが実際の順序です。

環境省の令和6年度調査では、自治体がごみ屋敷を条例の対象と判断する際に重視する点として、**周辺住民等への影響(92.2%)に次いで悪臭・害虫等の有無(74.4%)**が挙げられています。条例上の定義例でも「悪臭もしくは、はえ、ごきぶりその他の害虫が発生し」という状態が、ごみ屋敷を特徴づける要素として明記されています。

つまり、害虫は片付けが遅れているサインであって、駆除剤だけで解決する問題ではありません。餌(食べ残し・生ごみ)と隠れ場所(積み重なった段ボールや衣類)を減らさない限り、いくら薬剤を使っても発生源が残り続けます。

衛生害虫が問題になる理由

ゴキブリやネズミが「気持ち悪い」だけの問題ではないのは、感染症とのかかわりがあるためです。東京都西多摩保健所は、蚊・ゴキブリ・ダニ・ノミなどを**「感染症を媒介することが知られている、いわゆる衛生害虫」**と位置づけ、生態や防除方法の相談を受け付けています。

たとえば蚊については、「不要な水たまりをなくすこと」で産卵場所を絶ち、幼虫を退治するのが最も簡単で効果的な防除方法だとされています。この「発生源そのものを減らす」という考え方は、ゴキブリやネズミにも共通します。餌や水分、隠れ場所を断つことが、殺虫剤を使う以前の土台になります。

先に駆除?先に片付け?(現実的な順番)

駆除と片付け、現実的な順番

「まず駆除してから片付けたい」という気持ちは自然ですが、物が積み上がったままでは薬剤が奥まで届かず、効果が長続きしません。現実的には、次の順番で進めます。

  1. 通路・作業スペースを確保する まず動ける範囲をつくります。無理に一部屋を一気に片付けようとしない
  2. 生ごみ・食品・飲み残しを撤去する(餌を断つ) ここが最優先です。食べかけの弁当、空き缶、ペットボトルの中身から手をつけます
  3. 水回り・段ボールを撤去する(隠れ場所を断つ) キッチン・浴室まわりの湿気は、害虫が集まりやすい環境です。段ボールは卵が産みつけられやすいため、まとめて処分します
  4. 部分的に駆除する 餌と隠れ場所を減らしたうえで、殺虫剤やくん煙剤を使います
  5. 再点検・繰り返す 数日後にもう一度確認し、まだ出るようなら1〜4を繰り返します

大きな布製品や衣類は、40センチメートル角に切って指定袋に入れれば燃やせるごみとして出せます(福井市の場合。そのままの大きさなら粗大ごみ扱いです)。片付けの手順全体はゴミ屋敷を一人で片付ける手順にまとめています。

殺虫剤・くん煙剤が「効かない」ように感じるとき

「バルサンを焚いたのに変わらない」と感じるとき、考えられる原因はいくつかあります。

  • 物が多く、薬剤や煙が奥まで届いていない 家具や段ボールの陰、壁際は死角になりやすい
  • 卵には効果が及びにくいことがある 成虫は駆除できても、卵が残っていればしばらくして再び発生する
  • 餌と隠れ場所が残ったまま 駆除の直後は減ったように見えても、環境が変わらなければ再び集まってくる

薬剤の効き方は製品や状況によって差があるため、ここでは断定しません。効果を感じにくい場合は、片付けを先に進めて環境を変えるか、害虫防除の専門業者・保健所に相談してください。

保健所に相談できること

相談先の使い分け

保健所の環境衛生担当には、ゴキブリなど衛生害虫の生態や防除方法について相談できます。「どんな薬剤を使えばいいか」「なぜ繰り返し発生するのか」といった一般的な質問に答えてもらえます。

ただし、保健所は片付けそのものを代行する機関ではありません。大量のごみの出し方や、収集運搬の許可業者の確認は、お住まいの市区町村の環境部署が窓口になります。相談先を切り分けておくと、遠回りせずに済みます。近隣からの相談・通報については隣がゴミ屋敷で困っている場合も参考にしてください。

においへの対応(換気・生ごみ・水回り)

生活しているごみ屋敷のにおいの多くは、生ごみと水回りの汚れが原因です。

  • こまめな換気で空気を入れ替える
  • 生ごみは早めに指定袋へまとめ、収集日に合わせて出す
  • キッチン・浴室・トイレの水回りを優先して清掃する

これらは、人が亡くなったあとの体液や腐敗によるにおいとは性質が異なります。室内で人が亡くなった後のにおいへの対処は、専用の薬剤や機材を使う特殊清掃の領域です。特殊清掃の費用と流れで扱っている内容なので、混同しないよう確認してください。

量が多い・自分で無理なとき(片付けと駆除を一括で頼む)

ごみの量が多く、一人で通路すら確保できない場合は、片付けと害虫駆除をまとめて頼む選択肢があります。国民生活センターは、遺品整理や不用品回収を業者に頼む際は、複数社から見積もりを取り、料金の内訳や作業範囲を契約前に書面で確認するよう呼びかけています。家庭の不用品を回収できるのは、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者だけです。

一括で頼む場合は、見積書に駆除まで含むのか、片付けだけなのかを明記してもらいます。作業範囲があいまいなまま契約すると、追加費用や「思っていた作業をしてもらえなかった」というトラブルにつながります。業者選びの手順は遺品整理業者の選び方を参照してください。

福井で相談するなら

福井で相談先を切り分けると、次のようになります。

  • 害虫の生態・防除方法 保健所
  • 大量のごみの出し方・許可業者の確認 福井市 環境廃棄物対策課(電話0776-20-5398)
  • 高齢の親の生活支援 地域包括支援センター
  • 室内で人が亡くなった後のにおい 特殊清掃業者

無許可の業者に不用品の回収を依頼すると、不法投棄されるおそれもあります。家庭の不用品を回収できるのは、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者だけであることも、あわせて確認してください。

高齢の親の家が対象で、本人が片付けに気乗りしない場合は、駆除や片付けの前に関わり方から見直す必要があります。実家がゴミ屋敷になっていたら?親を責めない相談の順番にまとめているので、あわせて確認してください。自分の家の状態がどの段階かを先に把握したい方はゴミ屋敷のレベルの目安、費用のめやすはゴミ屋敷の片付け費用を参考にしてください。

害虫やにおいで身動きが取れない状況は、一人で抱え込むほど悪化しやすくなります。片付けと駆除、どちらから手をつければよいか迷う場合は、部屋の状況を相談フォームからお送りください。進め方のめやすをお伝えします。

よくある質問

ゴミ屋敷のゴキブリは、殺虫剤とくん煙剤のどちらを先に使えばいいですか?

どちらを使うにしても、先に生ごみ・食品・水回りを片付けて餌と隠れ場所を減らすことが前提です。物が積み上がったままだと、くん煙剤の煙も殺虫スプレーも奥まで届きにくく、卵にも効果が及ばないことがあります。通路と作業スペースを確保し、餌になる物を撤去してから、部分的に薬剤を使うという順番が現実的です。

バルサンなどのくん煙剤を焚いても効かないのはなぜですか?

物が多い部屋では、煙や薬剤が家具や段ボールの奥、壁際まで行き渡らないことがあります。また、くん煙剤は成虫には効果があっても、卵には届きにくいとされ、しばらくすると孵化した個体が再び現れることがあります。効果を感じにくい場合は、片付けを先に進めるか、害虫防除の専門業者に相談してください。

ゴキブリやネズミがいるゴミ屋敷を保健所に相談できますか?

はい。保健所の環境衛生担当は、感染症を媒介することが知られているゴキブリなどの衛生害虫について、生態や防除方法の相談を受け付けています。ただし、片付けそのものを保健所が代行するわけではありません。大量のごみの出し方や許可業者の確認は、市区町村の環境部署(福井市は環境廃棄物対策課)が窓口です。

ゴミ屋敷のにおいと、孤独死のあとのにおいは同じ対処でいいですか?

違います。人が生活している中で生ごみや水回りが原因で発生するにおいは、換気と生ごみ・水回りの片付けで軽減できます。一方、室内で人が亡くなった後の体液や腐敗によるにおいは、専用の薬剤や機材を使う特殊清掃の対象です。混同すると対処が遅れるため、まず状況を切り分けてください。

高齢の親の家がゴミ屋敷で害虫も出ています。何から相談すればいいですか?

害虫の生態や防除方法は保健所、ごみの出し方や許可業者の確認は市区町村の環境部署に相談できます。ただし、高齢の親本人の生活や説得が課題になっている場合は、地域包括支援センターに先に相談すると、片付けと生活支援を組み合わせた進め方を一緒に考えてもらえます。

関連記事