
福井県内で運転免許の自主返納を手続きする場合、全部取消しの手数料は無料です。県内4か所の運転者教育センターか警察署で受け付けています。とはいえ、県外に住む子として「親が窓口まで行けそうにない」「返納したあと、実家に残る車はどうすればいいのか」と、手続き以前の不安を抱えている方も多いはずです。
この記事では、返納の手続き先と流れ、本人が窓口に行けないときの代理申請と職員訪問、返納者支援、返納後に残った車の扱いまでを、福井県警察と福井市の公式情報にもとづいて整理します。親本人が所有者のまま車を手放す・譲るケースが対象で、相続が絡む車の扱いは遺品整理で車が残っていたらにまとめています。
運転免許の自主返納とは(誰でも、いつでもできる)
運転免許の自主返納とは、運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった方が、自分の意思で免許を返す手続きです。警察庁は、こうした高齢ドライバーが自主的に運転免許証を返納できると案内しており、年齢の上限・下限は定められていません。
ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、その基準に該当する方は自主返納できません。すでに違反歴があり処分の手続きが進んでいる場合は、まず担当の警察署に確認します。自主返納にあたるのは「全部取消し」で、希望すれば後述の運転経歴証明書も申請できます。
福井での返納手続き|場所・受付時間・手数料
福井県内で自主返納(全部取消し)を受け付けているのは、福井県運転者教育センター4か所と警察署です。
- 春江 坂井市春江町針原58-10
- 丹南 越前市余田町2-1-1
- 奥越 大野市南新在家32-1-4
- 嶺南 三方上中郡若狭町倉見1-51
平日の受付時間は午前10時00分〜11時00分、午後2時00分〜3時00分。日曜日は第1日曜日が嶺南、第2〜第5日曜日は春江で受付できますが事前の電話予約が必要です。警察署の平日受付は午前8時30分〜午後3時00分。必要書類は運転免許証、または有効期限のあるマイナ免許証で、全部取消しの手数料は無料です。
注意したいのは、免許取消しの手続きをしたその場から、その免許に係る車を運転できなくなることです。窓口までの送迎や帰りの公共交通機関を、事前に確保しておきます。
本人が窓口に行けないとき|家族の代理申請と、警察署職員の訪問
体調不良や身体機能の低下で本人が窓口まで行けない場合、2つの方法があります。
1. 家族などによる代理申請 申請者が窓口への来所が困難で、家族等が本人に代わって来所できる場合に利用できます。ただし、本人が「委任状兼確認書」を作成できることが条件です。委任と免許返納の意思を本人自身が書面で確認するためのもので、家族の判断だけで手続きを進めることはできません。
代理人になれるのは3親等以内の親族などです。
| 代理人の立場 | 必要書類 |
|---|---|
| 本人と同居 | 代理人の本人確認書類(運転免許証等)のみ |
| 本人と別居 | 上記に加え、申請者との関係書類(戸籍謄本等) |
| 介護施設等の職員 | 入居している証明書類+職員であることの証明書類 |
すべての代理人は本人確認書類の提示に加え、「誓約書」の作成が必要です。「委任状兼確認書」「誓約書」は、県警のホームページからダウンロードするか、運転者教育センターまたは警察署交通課の窓口で受け取れます。
2. 65歳以上で、本人も代理人も窓口に行けない場合 病気等の理由で、本人も代理人も運転者教育センターや警察署に赴けないときは、警察署の職員が自宅等を訪問し、免許の全部取消し申請を受理する制度があります。まずは最寄りの警察署か運転者教育センターへ電話で相談します。
いずれの方法も、返納するかどうかを決めるのは本人です。
運転経歴証明書はつくっておく(身分証になる・5年の期限)
全部取消しをした後、希望すれば**運転経歴証明書(またはマイナ経歴証明書)**の交付を申請できます。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。運転をやめたあとも身分証が必要になる場面は多く、作っておくと安心です。
注意したいのは期限です。自主返納後5年以上が経過すると、運転経歴証明書の交付を受けられなくなります。返納と同時に申請しておくのが確実です。発行手数料は、福井市のページでは1,150円と案内されています(市の「運転免許証自主返納証明証」は無料。詳細は次の見出しで比較します)。
福井市・福井県の返納者支援|ICOCA・タクシー割引・サポート制度
福井市は、満65歳以上で福井市内に住所があり、有効期限内の全ての運転免許を返納した方(平成28年4月1日以降が対象)に1人1回限りの支援を行っています。ICカード乗車券「ICOCA」2,000円分(デポジット500円分を含む)が支給され、75歳以上は証明証提示で対象タクシー事業者の運賃1割引になります。
| 証明書の種類 | 発行場所 | 身分証になるか | 発行手数料 |
|---|---|---|---|
| 運転免許証自主返納証明証 | 福井市 自転車利用推進課 | × | 無料 |
| 運転経歴証明書 | 運転者教育センターなど | 〇 | 1,150円 |
運転経歴証明書を持っていれば、市の証明証がなくても同等のサービスを受けられます。返納と同時に申請すれば、福井警察署・福井南警察署・運転者教育センターのワンストップ窓口で市の支援申請もまとめて行えます。申請窓口は福井市役所本館6階 自転車利用推進課(0776-20-5387)です。
福井県では、これとは別に高齢免許返納者サポート制度があります。運転経歴証明書の提示で、交通事業者・市町・企業や団体のサービスを受けられる仕組みで、平成25年度からは同行する家族の一部サービス利用も可能になりました。個別の内容・割引率は地域や年度で変わるため、詳細は福井県 県民安全課 交通安全グループへ。福井市以外の市町の返納者支援は内容が異なるので、お住まいの市町に確認してください。
返納後に残った車をどうする|名義変更・売却・抹消登録と自動車税
返納の手続きを終えても、車そのものは残ります。ここで放置しがちですが、注意が必要です。自動車税種別割は、4月1日時点の車検証上の所有者に1年分が課税されます。名義変更や抹消登録の手続きをしていないと、税は前の所有者(親)に引き続き課税され続けます。
車の扱いは、状況によって手続きが変わります。
- 家族が乗り継ぐ 運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽自動車)で**名義変更(移転登録)**をします
- 売る・下取りに出す 同じく名義変更が必要です。手続きを業者と依頼者のどちらが行うか、契約前に確認します
- 乗らない・値がつかない 抹消登録をします。年度途中で抹消した場合は、その翌月から月割で計算した額が還付されます
具体的な必要書類や手数料は車種や登録状況で変わるため、**福井運輸支局(050-5540-2057)**などの公式窓口で確認してください。鍵を置いたままにすると、うっかり運転してしまう心配もあるため、手続きが済むまでは別の場所で保管しておくと安心です。
親の判断力が心配なときの注意(車の売却と成年後見)
車を売る・譲る判断は、あくまで親本人の意思で行うのが基本です。判断能力が不十分な状態のまま家族だけで売買契約を進めると、あとで契約の有効性が問題になることがあります。
法務省は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で財産管理や契約が自分では難しい方を保護・支援する仕組みとして成年後見制度を紹介しています。車の売却を急ぐ前に、まずは本人の意思確認ができる状態かを見極め、難しいと感じたら、この制度の利用も選択肢の一つとして検討します。手続きの詳細な要件や費用は、家庭裁判所や司法書士・弁護士など専門家に確認してください。成年後見制度について詳しくはこちらにまとめています。
返納後の暮らしが不安なら|福井県警と地域包括支援センターの連携
「免許を返したら、親の買い物や通院はどうなるのか」という不安には、福井県警察の仕組みも用意されています。高齢者や家族等から地域包括支援センターへの連絡を要請する文書を提出すると、警察からセンターへ連絡が行き、速やかに生活支援を受けられる体制があります。逆に、センターの側が運転リスクの高い高齢者を把握した場合や、家族から運転の適否の相談を受けた場合には、警察の運転適性相談窓口を紹介する連携も行われています。相談先や実家全体の相談窓口としての役割は、地域包括支援センターとはにまとめています。
基本情報のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続き窓口 | 運転者教育センター(春江・丹南・奥越・嶺南)、警察署 |
| 全部取消しの手数料 | 無料 |
| 平日受付 | 午前10時00分〜11時00分、午後2時00分〜3時00分(警察署は午前8時30分〜午後3時00分) |
| 代理申請 | 3親等以内の親族等。委任状兼確認書+誓約書が必要 |
| 職員訪問 | 65歳以上・病気等で本人も代理人も来所困難な場合 |
| 運転経歴証明書 | 返納から5年以内に申請。福井市ページでは発行手数料1,150円 |
| 福井市の支援 | 満65歳以上・福井市内在住・1人1回。ICOCA2,000円分など |
| 車の手続き窓口 | 福井運輸支局(050-5540-2057)、軽自動車検査協会 |
親が運転をやめるかどうかを決めるのは本人ですが、手続きの窓口や代理申請の条件を先に知っておくと、いざというときに落ち着いて動けます。実家全体の今後の方針は親が施設に入るとき、実家をどうする?、遠方に住みながら進める考え方は実家が遠いときの遺品整理、親がまだ元気なうちにできることは生前整理はいつから始める?にまとめています。
免許返納をきっかけに実家じまいも視野に入ってきた場合は実家じまいの進め方を確認してください。返納の手続きや残った車の扱いで判断に迷うときは、状況を相談フォームからお送りいただければ、進め方の整理をお手伝いします。
よくある質問
運転免許の自主返納に年齢制限はありますか?
年齢の下限・上限はなく、運転免許が不要になった方や運転に不安を感じるようになった方は誰でも自主返納できます。ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方などは対象外です。福井市の返納者支援は満65歳以上が対象になるなど、支援制度側に年齢条件があります。
家族が代わりに返納の手続きをすることはできますか?
できます。ただし、本人が窓口に来所することが困難な場合に限られ、本人が作成した「委任状兼確認書」が必要です。代理人になれるのは3親等以内の親族などで、同居なら本人確認書類のみ、別居なら戸籍謄本等の関係書類も必要です。家族の判断だけで無条件に返納させられるわけではありません。
本人も家族も警察署に行けない場合はどうすればいいですか?
65歳以上の方が病気等の理由で本人も代理人も窓口に赴けない場合、警察署の職員が自宅等を訪問し、全部取消しの申請を受理する制度があります。まずは最寄りの警察署か運転者教育センターに電話で相談してください。
運転経歴証明書はいつまでに申請すればいいですか?
全部取消し(自主返納)と同時、または返納後に申請できますが、自主返納後5年以上が経過すると交付を受けられなくなります。平成24年4月1日以降に交付されたものは、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えるため、早めに手続きしておくと安心です。
返納後に残った車は、どう手続きすればいいですか?
乗り続けるなら名義変更、売却や下取りに出すときも名義変更、乗らず値もつかないなら抹消登録を、運輸支局で行います。手続きをせず放置すると、4月1日時点の所有者に自動車税が課税され続けます。具体的な必要書類や費用は福井運輸支局(050-5540-2057)で確認してください。


