葬祭費は申請しないともらえない?国保5万円・会社員は埋葬料

公開:2026.09.24更新:2026.09.24杉野龍泉のプロフィール写真監修:杉野龍泉(遺品整理コンサルタント/合同会社CIELIS代表)
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葬儀を終えたあと、「健康保険から何かもらえると聞いたけれど、うちはどれに当たるのか」「いくら、どこに申請すればいいのか」がわからないまま、手続きが後回しになることがあります。結論から言うと、亡くなった方が加入していた健康保険によって、もらえる給付の名称と申請先が変わります。国民健康保険(国保)と後期高齢者医療は「葬祭費」、会社員などが加入する協会けんぽは「埋葬料」です。

どちらも共通しているのは、申請しないと支給されないということです。窓口が黙って振り込んでくれる制度ではありません。ここでは、福井市国保・福井県後期高齢者医療・協会けんぽの3つを対象に、それぞれの金額・窓口・必要書類・申請期限を、公式情報にもとづいて整理します。

葬祭費・埋葬料とは|申請しないと支給されない

葬祭費・埋葬料は、葬儀を行った遺族の負担を軽くするために、亡くなった方が加入していた健康保険から支給される給付です。国民健康保険法は、市町村が条例または規約の定めにより葬祭費の支給や葬祭の給付を行う「ものとする」と定めています。義務的に自動で振り込まれる制度ではなく、申請という手続きを経て初めて支給される点が、この給付でいちばん見落とされやすいところです。

葬儀を終えたばかりの時期は、役所への死亡届、相続、遺品の片付けなど、やることが重なります。葬祭費・埋葬料の申請は、その中に埋もれて忘れられがちですが、後述のとおり期限があるため、早い段階で「自分はどの制度に当たるか」を確認しておくと安心です。要介護認定を受けていた方は、介護保険の資格喪失届(保険証の返却)も別途必要です。詳しくは介護保険の資格喪失届。

制度の全体像がわかったところで、次は「亡くなった人が加入していた保険」でどの窓口に申請するかを見ていきます。

亡くなった人の保険で窓口が決まる(国保・後期高齢者医療・協会けんぽ)

亡くなった人の保険で決まる給付と窓口

葬祭費・埋葬料は、亡くなった当時に加入していた健康保険によって、名称・金額・申請先が変わります。大きく3つに分かれます。

  • 国民健康保険(国保) 75歳未満で自営業・年金生活者などが加入。名称は「葬祭費」。金額は市町村の条例で定められ、福井市は5万円。申請先は市区町村の窓口
  • 後期高齢者医療制度 75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)が加入。名称は「葬祭費」。福井県後期高齢者医療広域連合の制度で5万円。申請先はお住まいの市役所・町役場
  • 協会けんぽ(全国健康保険協会) 主に中小企業の会社員とその扶養家族が加入。名称は「埋葬料」「埋葬費」「家族埋葬料」。金額は50,000円(埋葬費は範囲内の実費)。申請先は加入していた協会けんぽ支部

福井市国保以外の健康保険(社会保険、共済組合など)に加入していた場合は、市区町村ではなく、亡くなった当時に加入していた健康保険の保険者に申請します。また、福井市国保に加入する前に他の健康保険(国保組合を除く)の被保険者本人として1年以上加入しており、福井市国保加入後3か月以内に亡くなった場合は、以前加入していた健康保険から葬祭費が支給される取り扱いがあります。自分のケースがどれに当たるか迷うときは、亡くなった方の保険証(資格確認書)の種類を確認するところから始めます。

ここからは、それぞれの制度を福井の窓口に沿って詳しく見ていきます。まずは福井市国保からです。

福井市国保の葬祭費|5万円・保険年金課で申請

福井市国民健康保険の被保険者が亡くなったとき、葬儀執行者に5万円が支給されます。申請先は福井市 保険年金課(電話0776-20-5678)です。

必要な書類は次のとおりです。

書類内容
本人確認書類窓口に来る人のマイナ保険証または運転免許証等
委任状窓口に来る人が代理人(葬儀執行者と別世帯)の場合のみ
葬祭費支給申請書窓口で入手
葬儀執行者を確認できる書類会葬礼状、葬儀の領収書、埋火葬許可証など
印鑑葬儀執行者の印鑑(スタンプ印を除く)
振込先口座がわかるもの通帳など

葬祭費の申請と合わせて、亡くなった方の国保の資格喪失手続きも必要です。手続き窓口は保険年金課、または美山連絡所・越廼連絡所・清水連絡所で、亡くなった方の資格確認書(マイナ保険証の場合は不要)と、窓口に来る人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)を持参します。亡くなった方が世帯主だった場合は、他の家族の保険証(資格確認書)も一緒に持っていく必要があります。

福井市国保での申請方法がわかったところで、次は75歳以上が対象の後期高齢者医療について見ていきます。

75歳以上なら後期高齢者医療の葬祭費|市役所・町役場で申請

亡くなった方が75歳以上(後期高齢者医療の被保険者)だった場合は、福井県後期高齢者医療広域連合の制度が対象になります。葬祭を行った方に葬祭費(5万円)が支給され、申請先はお住まいの市役所・町役場です。

必要書類は次のとおりです。

  • 申請者の本人確認書類(運転免許証等)
  • 振込口座の通帳またはキャッシュカード
  • 葬祭執行者(喪主)を確認できるもの(会葬礼状、葬儀費用の領収書等)

国保の葬祭費と同じく、会葬礼状や葬儀の領収書が申請の裏付け書類として必要になる点は共通しています。申請期限については、後ほど「申請期限は2年」の章でまとめて説明します。

市役所・町役場が窓口になる2つの制度を確認したところで、次は勤め先の健康保険(協会けんぽ)に加入していた場合を見ていきます。

会社員・その家族なら協会けんぽの埋葬料・埋葬費・家族埋葬料

亡くなった方が会社員などで**協会けんぽ(全国健康保険協会)**に加入していた場合、国保や後期高齢者医療とは制度も窓口も異なります。名称は「葬祭費」ではなく「埋葬料」です。

対象になるのは、被保険者・被扶養者が業務外の事由により亡くなった場合です(業務上・通勤中の死亡は労災保険など別の制度が関わるため、勤務先や年金事務所に確認してください)。「亡くなった方」と「申請する方」の関係によって、次の3通りに分かれます。

区分申請できる人支給額
埋葬料被保険者により生計を維持されていた方50,000円
埋葬費生計維持関係にない「埋葬を行った方」(埋葬料を申請できる方がいない場合のみ)50,000円の範囲内で実際にかかった埋葬費用(霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等の実費)
家族埋葬料被扶養者が亡くなった場合、その被保険者50,000円

申請先は加入していた協会けんぽ支部です。国保・後期高齢者医療のように市区町村に出す書類ではないため、勤務先や協会けんぽの窓口に確認しながら進めます。なお、被保険者だった方が資格喪失後3か月以内に亡くなった場合も、対象になることがあります。申請は郵送のほか、電子申請も案内されています。

3つの制度の名称・窓口・金額が出そろったところで、次は共通して注意が必要な「申請期限」を確認します。

申請期限は2年(起算日に注意)

葬祭費・埋葬料は、いずれも申請できる期間が2年で区切られています。ただし、2年をどこから数えるか(起算日)は制度ごとに違うため、注意が必要です。

制度時効の起算日
福井市国保の葬祭費法令上「(権利を)行使することができる時」から2年(具体的な起算日は福井市保険年金課に確認)
後期高齢者医療の葬祭費葬祭を行った日の翌日から2年
協会けんぽの埋葬料・家族埋葬料死亡年月日の翌日から2年
協会けんぽの埋葬費埋葬年月日の翌日から2年

国民健康保険法110条は、保険給付を受ける権利について「これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する」と定めています。福井市のページには葬祭費の具体的な起算日(葬儀日か、届出日かなど)の記載がないため、この記事では法令上の「2年」とだけ示し、個別の起算日は保険年金課に確認することをおすすめします。

協会けんぽについては、審査の結果支払いが可能であれば、受付日から10営業日以内に支払われるとされています。国保・後期高齢者医療の振込までの日数は、いずれの一次情報にも記載がないため、この記事では触れません。

期限があることがわかったところで、最後にもう一つ、片付けの現場で見落としやすい注意点を見ておきます。

会葬礼状・葬儀の領収書は捨てない(遺品整理の前に確保する書類)

葬儀後〜申請までの書類の流れ

ここまで見てきたとおり、福井市国保・後期高齢者医療のどちらも、申請には葬儀執行者(喪主)を確認できる書類が必要です。具体的には会葬礼状、葬儀の領収書、埋火葬許可証などが挙げられています。

これらの紙は、香典の記録や式場からの書類と一緒に、葬儀関連の紙束にまとめて保管されていることが多いものです。遺品整理や実家の片付けを進める中で、「葬儀関係の書類だから」とまとめて処分してしまうと、葬祭費・埋葬料の申請ができなくなるおそれがあります。

片付けを始める前に、次の3点を優先して確保しておくと、あとで慌てずに済みます。

  • 会葬礼状(葬儀の際に配られる、故人と喪主の名前が入った礼状)
  • 葬儀の領収書(葬儀社から受け取った請求・支払いの書類)
  • 埋火葬許可証(火葬場で使用した許可証、または火葬済みの証明が付いたもの)

葬祭費・埋葬料は、あくまで葬儀にかかった費用に対する給付であり、遺品整理や片付けの費用を補助する制度ではありません。片付けの費用について迷う場合は、費用の負担者や進め方を別に整理しておくと混同せずに済みます。片付けを自分で進める手順は遺品整理を自分でやる手順、何から始めるかの考え方は遺品整理はいつからにまとめています。特殊清掃や片付けの費用を誰が負担するかは孤独死のあとの遺品整理を参考にしてください。

基本情報のまとめ

項目福井市国保後期高齢者医療協会けんぽ
名称葬祭費葬祭費埋葬料・埋葬費・家族埋葬料
金額5万円5万円50,000円(埋葬費は範囲内の実費)
申請先保険年金課・連絡所お住まいの市役所・町役場加入の協会けんぽ支部
主な必要書類本人確認書類、申請書、葬儀執行者を確認できる書類、印鑑、口座本人確認書類、口座、葬祭執行者を確認できる書類各種申請書、生計維持関係がわかる書類等
時効法令上2年(起算日は要確認)葬祭を行った日の翌日から2年死亡年月日または埋葬年月日の翌日から2年

葬祭費・埋葬料は、金額こそ数万円ですが、申請しないと受け取れない給付です。まず亡くなった方がどの健康保険に入っていたかを確認し、窓口と必要書類をそろえてください。どの制度に当たるか判断がつかない、会葬礼状などの書類が見当たらないといった場合は、状況を相談フォームからお送りいただければ、整理のお手伝いをします。相続まわりの他の期限もあわせて確認したい方は相続手続きの期限一覧、通帳や口座の扱いに迷う方は遺品整理で通帳・口座が出てきたときも参考にしてください。

よくある質問

葬祭費と埋葬料は何が違いますか?

亡くなった人が加入していた健康保険によって名称と窓口が変わります。国民健康保険(国保)と後期高齢者医療(75歳以上)は「葬祭費」で、市区町村に申請します。会社員などが加入する協会けんぽは「埋葬料」「埋葬費」「家族埋葬料」で、加入していた協会けんぽ支部に申請します。どちらも支給の性質は近く、申請しないと支給されない点は共通しています。

葬祭費はいくらもらえますか?

福井市国保、福井県後期高齢者医療のいずれも葬祭費は5万円です。協会けんぽの埋葬料・家族埋葬料は50,000円、埋葬費は50,000円の範囲内で実際にかかった埋葬費用が支給されます。国保の葬祭費は条例で定められているため、他の市町村では金額が異なる場合があります。

葬祭費の申請はいつまでにすればいいですか?

いずれも申請には期限があります。後期高齢者医療の葬祭費は葬祭を行った日の翌日から2年、協会けんぽの埋葬料・家族埋葬料は死亡年月日の翌日から2年、埋葬費は埋葬年月日の翌日から2年で時効になります。国保の葬祭費も法令上、権利を行使できる時から2年で時効です。忘れないうちに、早めに申請してください。

葬祭費の申請に必要な書類は何ですか?

福井市国保の場合、窓口に来る人の本人確認書類、葬祭費支給申請書、葬儀執行者氏名が確認できる書類(会葬礼状、葬儀の領収書、埋火葬許可証など)、印鑑(スタンプ印を除く)、振込先口座がわかるものが必要です。後期高齢者医療も、本人確認書類、振込口座がわかるもの、葬祭執行者(喪主)を確認できるもの(会葬礼状、葬儀費用の領収書等)が必要になります。会葬礼状や葬儀の領収書は、遺品整理で紙類を処分する前に確保しておいてください。

会社員だった家族が亡くなった場合はどうすればいいですか?

亡くなった方が会社員などで協会けんぽに加入していた場合、市区町村ではなく、加入していた協会けんぽ支部に「埋葬料(費)支給申請書」を提出します。生計を維持されていた家族が申請すれば埋葬料50,000円、その家族がいない場合に限り、実際に埋葬を行った方が埋葬費(実費・上限50,000円)を申請できます。被保険者の被扶養者が亡くなった場合は家族埋葬料50,000円です。資格喪失後3か月以内に亡くなった場合も対象になることがあるため、加入していた協会けんぽ支部に確認してください。

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