相続手続きの期限一覧|相続放棄3か月・相続税10か月・相続登記3年をまとめて確認

公開:2026.09.20更新:2026.09.20杉野龍泉のプロフィール写真監修:杉野龍泉(遺品整理コンサルタント/合同会社CIELIS代表)
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親などが亡くなったあと、遺品整理や葬儀の対応に追われているうちに、法律や税金にまつわる「締切」が次々と迫ってきます。相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月、相続登記は2024年4月から義務化されて3年——期限も内容もばらばらで、結局どれから手をつければいいのか分からなくなりがちです。

この記事では、相続にまつわる主な期限を1つの表にまとめ、それぞれの内容と、期限までに決められないときの考え方を整理します。遺品整理そのものをいつ始めるかは遺品整理はいつから始める?にまとめているので、ここでは法律・税金上の締切にしぼって説明します。

相続手続きの期限を1枚で確認(一覧表)

相続手続きの期限タイムライン

まず、代表的な4つの期限を一覧で確認します。起算日はいずれも「相続の開始(多くは故人の死亡)を知った日」です。

手続き期限対象になる人
相続放棄3か月以内借金の方が多いなど、相続したくない人
準確定申告4か月以内故人に事業所得・不動産所得・一定額以上の年金などの収入があった場合
相続税の申告・納税10か月以内課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合
相続登記の申請3年以内不動産(実家など)を相続で取得したすべての人

4つのうち、準確定申告と相続税は必要な人だけが対象です。一方、相続放棄は「借金がありそうなら検討する」もの、相続登記は不動産を相続した人全員に義務があるものです。次のセクションから、それぞれの内容を順番に見ていきます。

年金の死亡届・未支給年金の請求は、この一覧には含まれない別の手続きです。年金の死亡手続きにまとめています。遺族年金・寡婦年金・死亡一時金のどれが対象になるかの違いは遺族年金・寡婦年金・死亡一時金の違いにまとめています。介護保険の資格喪失届(14日以内)も、この一覧には含まれない別の手続きです。詳しくは介護保険の資格喪失届にまとめています。

相続放棄は3か月以内|考えているなら遺品や財産に手をつけない

相続放棄を検討している場合、期限は相続を知った日から3か月以内です。この期間内に家庭裁判所へ申述しなければ、原則としてすべての財産(プラスもマイナスも)を相続する「単純承認」をしたものとして扱われます。

ここで注意したいのが、期限内であっても財産に手をつけると相続放棄ができなくなることがある点です。相続財産を売却したり処分したりすると、それだけで単純承認をしたとみなされることがあります(法定単純承認・民法第921条)。家電・家具・貴金属などまだ使える家財道具には財産的価値があるとされるため、遺品整理を先に進めてしまうと、あとで相続放棄ができなくなるおそれがあります。

借金の有無がはっきりしない、相続放棄を少しでも検討している、という段階では、片付けよりも先に財産の状況を確認してください。片付けで放棄できなくなる行為・影響しない行為の詳しい線引きは遺品整理と相続放棄にまとめています。3か月以内に選ぶのは放棄だけでなく限定承認も同じです(限定承認とは)。

準確定申告は4か月以内|故人に収入があった場合

準確定申告は、故人が亡くなった年の所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。期限は相続を知った日から4か月以内で、4つの期限のなかで相続税の10か月より先に来ます。

対象になりやすいのは、故人が事業所得・不動産所得があった場合や、一定額以上の年金を受け取っていた場合です。会社員として給与のみを受け取っていた場合は不要なことが多いですが、判断が分かれるケースもあるため、確定申告書や源泉徴収票などの書類が見つかったら、早めに税理士へ確認するのが確実です。

期限が短いぶん、遺品整理の途中で見つけた書類をそのまま捨ててしまわないことが大切です。通帳・確定申告書の控え・源泉徴収票・保険証券などは、内容を確認できるまで保管しておいてください。必要な人の見分け方や医療費控除の扱いは準確定申告の進め方にまとめています。

相続税の申告・納税は10か月以内|まず基礎控除で判断

相続税の申告・納税の期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。ただし、相続税は相続した人全員にかかるわけではありません。

国税庁によれば、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。課税価格の合計額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかからず、申告も不要です。なお、法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の人数で数えます。

つまり、最初にやるべきは「財産の合計額が基礎控除額を超えているかどうか」の見当をつけることです。実家などの不動産がある場合は評価額の把握に時間がかかるため、早めに財産を洗い出しておくと、10か月という期限に余裕を持って対応できます。実家(不動産)の相続税・相続登記をまとめて知りたい方は実家じまいと相続税・登記も参考にしてください。片付けの途中で現金や通帳が出てきたときの扱いは遺品整理で現金が出てきたらにまとめています。

相続登記は3年以内に義務化されている|怠ると過料の対象

期限を守れないと、どうなるか

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、法務局へ登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

この義務化は、施行日より前に発生した相続にも及びます。その場合は、令和9年(2027年)3月31日までに登記します。相続放棄や相続税と違い、相続登記は「不動産を相続で取得した人」全員が対象になる点が特徴です。

遺産分割の話し合いがまとまらず3年以内に登記できそうにないときは、相続人申告登記という簡易な手続きがあります。自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで、いったん義務を果たしたことになりますが、権利関係を確定するものではないため、あとで正式な相続登記があらためて必要です。制度の詳しい内容と福井での手続き先は相続登記の義務化にまとめています。

期限までに決められない・遺産分割がまとまらないときは

相続人どうしで話し合いがまとまらず、期限までに遺産分割が決まらないことも珍しくありません。この場合にまず押さえておきたいのが、相続財産は遺産分割が終わるまで相続人全員の共有という原則です(民法898条)。預貯金債権も遺産分割の対象であり、相続人が単独で全額を引き出すことは原則としてできません。

期限が迫っているからといって、一人の判断で財産を処分したり、口座から引き出したりすることは避けてください。そのうえで、期限のある手続きごとに、次のような対応があります。

  • 相続放棄が3か月に間に合わない場合は、期限内に家庭裁判所へ「熟慮期間の伸長」を申し立てる方法があります。申立ての期限や流れは相続放棄の期限と期間の伸長にまとめています
  • 相続税が未分割のまま10か月を迎える場合は、いったん法定相続分で申告し、分割後に修正する仕組みがあります(詳しくは税理士へ)
  • 相続登記が3年に間に合わない場合は、前述の相続人申告登記で義務をいったん果たせます

いずれも個別の事情で扱いが変わるため、期限が近づいてきた時点で、税理士・司法書士・弁護士など、該当する専門家に早めに相談することが遠回りに見えて一番の近道です。

福井で相談するなら

相続放棄は家庭裁判所、準確定申告と相続税は税務署、相続登記は法務局と、相談先が手続きごとに分かれます。判断に迷う段階でも、該当する窓口や専門家に早めに問い合わせておくと、期限を意識しながら落ち着いて進められます。

なお、葬儀後に申請する**葬祭費・埋葬料(2年で時効)**は、ここまでの相続手続きとは別の制度です。詳しくは葬祭費の申請にまとめています。

遺品整理をいつ始めるか、相続放棄を検討しているかによって、片付けの進め方も変わります。状況を相談フォームからお送りいただければ、どの順番で進めるべきか、どの窓口に相談すべきかの整理をお手伝いします。

よくある質問

相続の手続きで期限があるものは何ですか?

主に4つです。相続放棄は相続の開始を知った日から3か月以内、準確定申告(故人に収入があった場合)は4か月以内、相続税の申告・納税は10か月以内、相続登記の申請は3年以内(2024年4月から義務化)です。それぞれ起算日と内容が異なるため、まず全体像を一覧で把握することが大切です。

相続放棄の3か月に間に合わないときはどうすればいいですか?

財産の調査に時間がかかるなどの事情があれば、3か月以内に家庭裁判所へ『熟慮期間の伸長』を申し立てることで期間を延ばせます。詳しい手続きは早めに弁護士・司法書士に相談してください。

相続税は誰でも申告が必要ですか?

課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、相続税はかからず、申告も不要です。まず基礎控除額を超えるかどうかを確認するのが最初のステップです。

相続登記をしないとどうなりますか?

2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。施行日より前に発生した相続も対象で、2027年3月31日までに登記する必要があります。

期限までに遺産分割が決まらないときはどうすればいいですか?

相続財産は、遺産分割が終わるまで相続人全員の共有です。預貯金も単独で全額を引き出すことは原則できません。相続税の申告期限に間に合わない場合や相続登記の期限が迫っている場合は、それぞれ未分割のままでの申告や、相続人申告登記といった簡易な手続きがあります。早めに税理士・司法書士に相談してください。

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