相続登記の義務化|3年以内に、しないと過料10万円

公開:2026.09.13更新:2026.09.13杉野龍泉のプロフィール写真監修:杉野龍泉(遺品整理コンサルタント/合同会社CIELIS代表)
相続登記の義務化|3年以内に、しないと過料10万円のイメージ

実家を相続してから名義変更(相続登記)をしないまま、というご家庭は少なくありません。以前は登記をするかどうかは任意でしたが、2024年4月1日から相続登記の申請が義務になりました。期限は不動産の取得を知った日から3年以内で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

すでに相続していて登記が済んでいない方にとって気になるのは、「自分は対象なのか」「もう過ぎているのではないか」という点だと思います。ここでは、義務化の内容と期限、過料の考え方、遺産分割が終わらないときの手続きまで、法務省の情報にもとづいて整理します。

相続登記が義務になった(2024年4月1日から)

このセクションでは、義務化そのものの内容を確認します。

相続(遺言による取得を含みます)で不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をすることが法律で義務づけられました。施行日は2024年(令和6年)4月1日です。

それまでは、相続登記は義務ではありませんでした。名義が祖父母や、さらに前の世代のままになっている不動産が全国に多く残っていることが、義務化の背景にあります。相続人が増えて権利関係が複雑になると、それだけ登記も進めにくくなります。次に、具体的な期限の数え方を見ていきます。

期限は「取得を知った日から3年以内」

期限の起点は「相続が始まったこと」と「自分がその不動産の所有権を取得したこと」の両方を知った日です。多くの場合は、故人が亡くなったことを知った日と重なります。

ただし、遺産分割協議によって特定の不動産を自分が取得することが決まった場合は、その協議が成立した日が起点になることがあります。単に「相続人の一人である」と知っただけでは、まだ起点にならない場合がある点に注意してください。自分のケースでいつが起点になるかは、法務局や司法書士に確認するのが確実です。期限の数え方を誤ると、意図せず義務違反の状態になりかねません。続いて、すでに何年も前に相続している場合の扱いを見ます。

2024年3月以前の相続も対象(2027年3月末まで)

相続登記の期限の考え方(2024年4月以降の相続と、それ以前の相続)

「うちは何年も前に相続したから関係ない」と思われがちですが、そうではありません。施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続で不動産を取得した場合でも、まだ登記していなければ義務化の対象です。

この場合の期限は、施行日または「取得を知った日から3年」のどちらか遅い方までとされており、具体的には2027年(令和9年)3月31日までに相続登記をする必要があります。親や祖父母の代から名義変更をしていない実家がある方は、この経過措置に当てはまる可能性が高いため、早めに確認してください。期限を確認したら、次は「守らなかった場合」を見ておきます。

しないと10万円以下の過料

期限内に正当な理由なく相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料の適用対象になります。過料は刑罰ではありませんが、金銭的な負担が生じる行政上のペナルティです。

「正当な理由」に当たるかどうかは個別の事情によって判断されます。相続人の数が極めて多く戸籍の収集に時間がかかる場合や、遺言の有効性が争われている場合などが想定されますが、何が正当な理由と認められるかは最終的に法務局・裁判所の判断になります。自己判断で「うちは大丈夫」と決めつけず、期限が迫っているなら早めに法務局や司法書士に相談することが、過料を避ける最も確実な方法です。とはいえ、話し合いがまとまらず、どうしても3年以内に間に合わないケースもあります。そのための手続きを次に説明します。

遺産分割が終わらないときは「相続人申告登記」

遺産分割の状況に応じた相続登記の進め方

きょうだいの間で意見が割れて遺産分割協議が長引く、相続人の一人と連絡が取れない、といった事情で3年以内に正式な相続登記が終わりそうにないことがあります。このために設けられたのが相続人申告登記という簡易な手続きです。

自分がその不動産の相続人であることを法務局に申し出るだけで、いったん相続登記の申請義務を果たしたことになります。戸籍をすべて集めて相続関係を確定させる正式な登記に比べ、手続きの負担が軽いのが特徴です。

ただし、相続人申告登記は権利関係そのものを確定させる登記ではありません。あくまで義務を暫定的に果たすための手続きなので、後日、遺産分割協議がまとまったら、あらためて正式な相続登記を申請する必要があります。「これで手続きは終わり」ではなく、「先送りが許される期間ができた」と理解しておくとよいでしょう。義務を果たすことと、実際に不動産を動かせる状態にすることは別の話です。次は、その違いが実際にどう影響するかを見ていきます。

登記していないと実家を売れない・担保に入れられない

義務や過料とは別に、登記そのものを済ませておく実務上の理由があります。相続した不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりするには、まず相続人への名義変更(相続登記)が必要です。名義が故人のままでは、買主も金融機関も手続きを進められません。

実家じまいを考えている方にとっては、ここが大きな意味を持ちます。遺産分割協議がまとまらないと登記も進まず、登記が済まなければ売却も解体の契約も足踏みします。実家を将来的に売る・活用する予定があるなら、相続登記は「義務だから」だけでなく「動かせる状態にするため」に早めに済ませておく方が、あとの選択肢が広がります。

また、登記を済ませないまま長期間放置すると、不動産そのものの管理も行き届きにくくなります。空き家が「特定空家等」や「管理不全空家等」に該当し、市区町村長から勧告を受けて改善されない場合、その敷地は固定資産税の住宅用地特例(課税標準6分の1)の対象から外れ、税額が上がることがあります。登記の放置と空き家の放置は別の問題ですが、どちらも「先延ばしにするほど動かしにくくなる」という点は共通しています。相続税や固定資産税など、実家じまい全体のお金の話は実家じまいと相続税・登記にまとめています。最後に、実際の手続き先を確認しておきます。

福井で手続きするなら(法務局・司法書士)

相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。福井県内の不動産であれば、所在地に応じて福井地方法務局の本局または各支局・出張所が窓口になります。管轄は所在地によって細かく分かれるため、事前に法務局のホームページや電話で確認するのが確実です。

必要書類は、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書(協議で分ける場合)、固定資産評価証明書などで、集める手間がかかります。本籍地が遠方の場合でも、最寄りの窓口でまとめて請求できる戸籍謄本の広域交付を使うと手間を減らせます。相続人が多い、遺産分割の話し合いが難航している、というケースでは、司法書士に依頼すると手続きがスムーズです。

登記のあとに実家の解体や活用を考える場合、福井市には老朽危険空き家等の除却を補助する制度があり、上限50万円(跡地を地域で利用する場合は100万円)です。窓口は福井市建設部住宅政策課(電話0776-20-5571)。実家じまい全体の進め方は実家じまいの進め方、費用のめやすは実家じまいの費用にまとめています。相続そのものを引き受けるか迷っている場合は、遺品整理と相続放棄もあわせてご覧ください。

相続登記の期限と手続きの早見表

項目内容
義務化の施行日2024年(令和6年)4月1日
期限不動産の取得を知った日から3年以内
施行日より前の相続2027年(令和9年)3月31日までに登記が必要
守らなかった場合正当な理由がなければ10万円以下の過料
遺産分割が終わらないとき相続人申告登記でいったん義務を履行(後日、正式な登記が別途必要)
相談先不動産所在地を管轄する法務局、司法書士

相続登記の期限や、実家をこのあとどうするか(売却・解体・活用)で判断に迷う場合は、相談フォームから状況をお送りください。お名前や電話番号は不要です。法的な最終判断は法務局・司法書士にご確認いただく前提で、進め方の整理をお手伝いします。

よくある質問

相続登記はいつから義務になりましたか?

2024年(令和6年)4月1日から義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、法務局へ登記を申請しなければなりません。

相続登記をしないとどうなりますか?

正当な理由がないのに期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。また、登記をしていない不動産は売却したり担保に入れたりできません。

2024年3月より前に相続した実家も対象ですか?

対象です。施行日より前に発生した相続でも、まだ登記していなければ義務化の対象になり、2027年(令和9年)3月31日までに相続登記をする必要があります。

遺産分割がまとまらないときはどうすればいいですか?

相続人申告登記という簡易な手続きがあります。自分がその不動産の相続人であることを法務局に申し出るだけで、いったん義務を果たしたことになります。ただし権利関係を確定する登記ではないため、遺産分割がまとまったら、あらためて正式な相続登記が必要です。

相続登記は自分でもできますか?

手続き自体は自分で行うこともできますが、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成など準備が煩雑になりやすい手続きです。福井県内であれば、管轄の法務局または司法書士に相談すると進めやすくなります。

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