空き家の固定資産税はなぜ上がる|「特定空家等」に指定される前に

公開:2026.09.17更新:2026.09.17杉野龍泉のプロフィール写真監修:杉野龍泉(遺品整理コンサルタント/合同会社CIELIS代表)
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実家を相続したものの、まだ片付けにも売却にも着手できず、そのままにしている——そんな方が気になるのが「空き家を放置すると固定資産税が上がる」という話です。福井市の空き家率は16.1%(令和5年)で、5年前の14.3%から着実に増えています。

結論から言うと、放置しただけで自動的に税額が上がるわけではありません。上がるのは、管理されない空き家が「特定空家等」や「管理不全空家等」に該当し、市区町村長からの勧告を受けても改善しなかった場合です。ここでは、その仕組みと、福井市の支援制度、先延ばしにしないための次の一歩を整理します。

空き家を放置すると固定資産税が上がるのは本当か

「空き家を持っていると固定資産税が上がる」という話は本当ですが、順番があります。まず税額が軽減される仕組み(住宅用地の特例)があり、それが一定の条件を満たすと外れる、という2段階の話です。順番を追わずに「放置=即・増税」と理解すると、必要以上に不安になったり、逆に「まだ大丈夫」と先延ばしにしすぎたりします。

次の見出しから、まず税額が下がっている理由を確認し、そのあとで特例が外れる条件を見ていきます。

「住宅用地の特例」とは(更地より税額が低い理由)

住宅が建っている土地は、更地に比べて固定資産税が低く抑えられています。これが「住宅用地の特例」です。小規模住宅用地(一般的な戸建ての敷地)は、通常、課税標準額が6分の1に軽減されています。空き家であっても、建物が建っている限り、この特例は基本的に適用され続けます。

つまり、実家を「空き家のまま」放置していても、それだけでは特例は外れません。多くの人が空き家を解体せずに保有し続けるのは、この特例があるからでもあります。ただし、この特例には「管理されていること」を前提にした例外があります。次の見出しで、その例外を見ていきます。

「特定空家等・管理不全空家等」に指定されるとどうなるか

住宅用地の特例と「特定空家等」指定

空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、著しく管理されていない空き家は「特定空家等」または「管理不全空家等」に該当することがあります。

東京都主税局は、次のように説明しています。特定空家等・管理不全空家等に該当し、市区町村長から勧告を受けて改善されない場合、その敷地は住宅用地に係る課税標準の特例の適用対象から除外される、というものです。

つまり、指定されて即座に税額が上がるのではなく、

  1. 「特定空家等」または「管理不全空家等」に該当する
  2. 市区町村長から勧告を受ける
  3. それでも改善されない

という段階を経て、はじめて住宅用地の特例が外れます。特例が外れると、これまで6分の1に軽減されていた課税標準額が本来の水準に戻るため、土地の固定資産税は実質的に大きく上がります。逆に言えば、勧告の段階で庭木を刈る、破損箇所を直すなど改善が見られれば、特例は継続します。放置を続けるかどうかで結果が変わる制度だということが分かります。

では、実際に「特定空家等」に該当するかどうかは、どのように決まるのでしょうか。次の見出しで、現時点で確認できている範囲を説明します。

指定・勧告までの流れ(市区町村による現地確認と改善指導)

特定空家等・管理不全空家等に該当するかどうかは、市区町村が個別に判断します。一般的には、周辺への悪影響の程度を現地で確認し、必要に応じて所有者へ助言・指導を行い、改善が見られない場合に勧告へ進む、という大まかな流れが法律の枠組みとして用意されています。

ただし、判定の具体的な基準や、指定から勧告・命令・代執行までの詳細な期間は、自治体ごとの運用によるところが大きく、本サイトで確認できている一次情報の範囲では断定できません。ご自身の実家が該当しそうか気になる場合は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく窓口として、お住まいの市区町村(福井市であれば後述の住宅政策課)に直接確認するのが確実です。

福井では、この「特定空家等」の話とセットで案内されることが多いのが、解体費用の補助制度です。次の見出しで紹介します。

福井市の実家・空き家なら(老朽危険空き家等除却支援事業)

放置してしまう前の分岐

福井市の空き家は20,050戸(令和5年)で、平成30年の17,020戸から増加しています。空き家率は16.1%、賃貸・売却・二次的住宅の予定がない「その他の住宅」に限っても8,440戸(空き家の42.1%)あり、5年間で1,960戸増えました。管理されない空き家は、福井でも珍しくありません。

福井市は、周囲への悪影響が大きい老朽化した危険な空き家等を解体する費用の一部を補助する「老朽危険空き家等除却支援事業」(令和8年度)を実施しています。窓口は建設部住宅政策課(電話0776-20-5571、福井市大手3丁目10-1)です。福井市自身も、管理されず放置され特定空家等に該当すると、勧告により土地の住宅用地特例が外れることがあると明記しています。金額や要件は年度ごとに見直されるため、解体を検討する段階で早めに相談することをおすすめします。制度の詳しい条件は空き家の片付け方と福井市の補助制度にまとめています。家財処分の補助とあわせた2つの制度の使い分けは福井市の空き家補助金2つの制度で解説しています。

基本情報まとめ

項目内容
通常の住宅用地の軽減小規模住宅用地は課税標準額が6分の1(住宅用地の特例)
特例が外れる条件特定空家等・管理不全空家等に該当し、勧告を受けても改善しない場合
根拠法空家等対策の推進に関する特別措置法
福井市の空き家20,050戸・空き家率16.1%(令和5年、5年間で1,960戸増)
福井市の相談窓口建設部住宅政策課 電話0776-20-5571
解体費用の補助老朽危険空き家等除却支援事業(令和8年度、金額・要件は年度により改定)

先延ばしにしないための次の一歩(片付け・相続登記・売却)

「特定空家等」に指定される前にできることは、解体だけではありません。実家をどうするかは、大きく分けて住む・貸す・売る・解体するの4通りで、どれを選ぶにしても、最初の一歩は共通しています。

  • 家財を片付ける 中身が残ったままでは、賃貸に出すことも売ることもできません。進め方は実家じまいの進め方にまとめています
  • 相続登記を済ませる 令和6年4月から相続登記が義務化されています。登記が済んでいないと、売却も解体もスムーズに進みません。相続税・登記・空き家3000万円控除の期限は実家じまいと相続税・登記で整理しています
  • 売る・貸す・解体するかを決める 判断に迷う場合も、先延ばしにする時間だけは確実に過ぎていきます。空き家の片付け方と福井市の補助制度は空き家の片付けを参考にしてください

判断できないまま放置する期間が長くなるほど、特定空家等に該当するリスクも、建物の傷みも進みます。どこから手をつければよいか迷う場合は、実家の状況(築年数・空き家になってからの期間・現在の管理状況)を相談フォームからお送りいただければ、進め方のめやすをお伝えします。

よくある質問

空き家を放置すると固定資産税は必ず上がりますか?

放置しただけで自動的に上がるわけではありません。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、小規模住宅用地は課税標準額が6分の1に軽減されています。管理されない状態が続いて「特定空家等」や「管理不全空家等」に該当し、市区町村長から勧告を受けても改善しなかった場合に、この特例が適用対象から除外され、結果として税額が上がります。

「特定空家等」とはどういう状態を指しますか?

空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづき、市区町村が個別に判断する空き家の区分です。本サイトで確認できている一次情報は、指定・勧告を受けて改善されない場合に住宅用地の固定資産税特例が外れるという制度の効果までで、判定の具体的な基準(傷み方や衛生状態の詳細な線引き)は自治体の窓口・専門家に確認することをおすすめします。

「管理不全空家等」は「特定空家等」と何が違いますか?

どちらも空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく区分で、東京都主税局の説明では、いずれも市区町村長から勧告を受けて改善されない場合に、敷地が住宅用地の固定資産税特例の適用対象から除外されるとされています。段階や名称の詳しい違いは自治体ごとの運用によるため、個別の判断はお住まいの市区町村の窓口に確認してください。

勧告を受けたら、いつから税額が上がりますか?

本サイトで確認できている一次情報の範囲では、勧告を受けて改善されない場合に特例の適用対象から除外される、という制度の骨子までしか裏付けが取れていません。具体的にいつの年度から反映されるかは自治体の資産税課の運用によるため、断定せずお住まいの市区町村に確認することをおすすめします。

福井市の実家が古い空き家です。解体費用は補助されますか?

福井市には、周囲への悪影響が大きい老朽化した危険な空き家等を解体する費用の一部を補助する「老朽危険空き家等除却支援事業」(令和8年度)があります。窓口は建設部住宅政策課(電話0776-20-5571)です。金額や要件は年度ごとに見直されるため、解体を検討する段階で早めに相談することをおすすめします。

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