
親から相続した家、あるいは長年だれも住んでいない実家。売るにも貸すにも解体するにも、まず家の中を空にする必要があります。ところが、遠方に住んでいて何度も通えない、物がどれだけあるか把握できない、どこから手をつければいいか分からない——そこで止まってしまう方が多くいます。
福井市の空き家は20,050戸、空き家率16.1%(令和5年住宅・土地統計調査)。うち賃貸・売却用などを除く「その他の住宅」が8,440戸あり、その多くが相続後に片付けられないまま残っています。
ここでは、空き家の片付けを「ライフラインの確認 → 貴重品の捜索 → 仕分け → 搬出 → ごみ処理」の順に、福井の事情もふまえて解説します。
片付ける前に確認する5つのこと
家財に手をつける前に、次を済ませます。
- 相続の方針 承認か相続放棄か。放棄を検討中なら、家財を処分すると「相続を承認した」とみなされることがあるため、片付けを止めます(相続放棄と遺品整理)
- 相続登記 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内が義務です(令和6年4月から)。売却・解体にも登記が必要です
- 電気・水道の開栓 照明・掃除機・水道が使えないと作業になりません。長期閉栓していた場合は事前に連絡します
- 火災保険の継続 空き家は補償の条件が変わることがあります。片付け・解体まで切らさないようにします
- 貴重品・重要書類の在りか 通帳・印鑑・権利証・現金・保険証券。仕分けの前に、家族で「どこを探すか」を共有します
手順1|近隣へのあいさつと搬出ルートの確認
作業前に、両隣と向かい、自治会長へあいさつします。トラックの駐車、作業音、ほこりについて一言伝えておくと、後のトラブルを防げます。
あわせて、家具を出す経路を確認します。玄関の幅、廊下の曲がり、階段、前面道路にトラックを付けられるか。福井の旧市街や集落部は道が狭く、大型トラックが入れないことがあります。入れない場合は小型車で往復するか、軽トラのレンタルを検討します。
手順2|貴重品を捜索し、家財を4つに仕分ける
まず、通帳・現金・権利証・貴金属・手紙を探します。タンスの引き出しの奥、仏壇の引き出し、本のあいだ、押し入れの天袋、衣類のポケット、冷蔵庫の中まで見ます。空き家は放置期間が長いぶん、家族が把握していない物が出てきます。
そのうえで、家財を4つに分けます。
- 残す 形見、写真、必要書類。段ボールにまとめて自宅へ
- 売る・譲る 家電、家具、骨董、着物。状態が良ければ買取や寄付
- 供養する 仏壇、位牌、神棚、人形(仏壇の処分方法と費用)
- 捨てる 上記以外
迷った物は「残す」に一時保管し、後日判断します。仕分けの詳しいコツは遺品整理を自分でやる手順にまとめています。
手順3|空き家で加算されやすい項目
空き家の片付けは、住んでいる家の片付けより費用がかさみがちです。次の項目は、見積もりのときに必ず伝えます。
- 庭木・生け垣の伐採、庭石・ブロック 屋外作業は別料金
- 物置・納屋・車庫の中身 農機具、肥料、灯油、塗料、タイヤ
- 農機具・耕運機・草刈り機 ガソリンを抜く必要があり、処理困難物扱い
- 傷んだ畳・カビた布団・故障家電 放置期間が長いほど増える
- 仏壇・神棚 供養の手配が必要
手順4|ごみを処理する
福井市の場合、家庭から出た家財は次のルートで処分します。
| 種類 | 出し方 | 費用のめやす |
|---|---|---|
| 粗大ごみ | 戸別収集(0776-35-0052、1回5点・市在住者のみ)/施設へ持ち込み | 戸別605〜935円/持ち込み165〜275円(1点) |
| 燃やせる・燃やせないごみ | 指定袋/施設へ持ち込み | 持ち込みは重量制 |
| 家電4品目 | 販売店引き取り/指定引取場所 | リサイクル料金+運搬 |
| 農機具・灯油・塗料など | 販売店・専門業者 | 品目による |
量が多いと戸別収集(5点まで)では回らないため、施設への持ち込みか業者への一括依頼が現実的です。持ち込み先や施設ごとの受け入れ品目は福井市の粗大ごみの出し方を参照してください。
自分でやるか、業者に頼むか
- 自分で 物が少なく、通える距離で、軽トラを運転できるなら可能。費用はレンタカー代と粗大ごみ手数料で数万円。ただし一軒家1棟を空にするには、週末作業で1〜2か月かかります
- 業者に依頼 量が多い・遠方・急ぎ・農機具や庭木がある場合。費用のめやすは1R・1Kで4〜15万円、一軒家で25〜80万円(余裕をもった幅。福井の遺品整理の料金相場)
業者に頼むときは、一般廃棄物収集運搬業の許可があるか、庭木や物置も見積もりに含まれているかを確認します。無許可業者に渡すと不法投棄のリスクがあります。業者選びの手順は遺品整理業者の選び方にまとめています。
福井市の「空き家家財処分支援事業」
福井市には、空き家の中に放置された家具・寝具・家電の処分費用を補助する制度があります(令和8年度・空き家家財処分支援事業)。
- 補助額 対象事業費の3分の2、上限5万円(最低事業費3万円以上)
- 対象 福井市空き家情報バンクへ登録し、交付後2年以上登録を続ける一戸建て
- 注意 契約前の申請が必須(先に業者と契約すると対象外)、市税の滞納がないこと、他の補助との併用不可、過去に同制度の補助を受けていないこと
- 窓口 建設部住宅政策課(電話0776-20-5571、市役所本館4階)
金額や要件は年度ごとに見直されます。空き家を賃貸・活用する方針なら、片付け前に住宅政策課へ相談すると、この補助が使えるか確認できます。
片付けた後の選択肢
家の中が空になったら、次のいずれかを選びます。
- 売却 相続空き家の3,000万円特別控除に期限があります(実家じまいと相続)
- 賃貸・活用 福井県・各市の空き家バンクに登録する方法があります
- 解体して更地 福井市には老朽化した危険な空き家等の除却費用の補助があります(住宅政策課 0776-20-5571)。金額・要件は年度により改定されるため、事前に相談します
- 当面は保有 管理されず放置され「特定空家」に該当すると、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がることがあります
進め方の全体像は実家じまいの進め方、費用は実家じまいの費用にまとめています。
福井で片付けるときに
福井県の空き家は**53,100戸・空き家率15.6%**で過去最高です。相続した空き家を放置すると、雪の重みで傷み、湿気でカビが広がり、次の世代がより複雑な状態で引き継ぐことになります。片付けだけでも先に済ませておくと、売却・解体・活用のどの道にも進めます。
どこから手をつけるか迷うときは、間取りと物量のわかる写真、庭や物置の様子を相談フォームからお送りいただければ、片付けの段取りと費用のめやすをお伝えします。
よくある質問
空き家の片付けにはいくらかかりますか?
家財の量と間取りで決まります。めやすは1R・1Kで4〜15万円、2DK・2LDKで10〜35万円、一軒家で25〜80万円(「思ったよりかかった」を避けるため上限は余裕をもたせた幅で、多くは下寄り〜中ほど)。空き家では、庭木の伐採、物置・納屋の中身、農機具、仏壇、放置期間が長く傷んだ畳や家電などで加算されやすくなります。自分で運べる量なら、レンタカー代と福井市の粗大ごみ手数料(1点165〜935円)で数万円に抑えられます。福井市には家財処分費の補助制度もあります(令和8年度・上限5万円、要件あり)。
遠方に住んでいて空き家の片付けに何度も通えません。
現地に行くのは「貴重品・重要書類の捜索」と「業者の立ち会い(見積もりと作業初日・最終日)」に絞ると、往復2〜3回で済みます。多くの遺品整理業者は、写真や動画で状況を共有すれば概算見積もりを出し、立ち会いなしの作業にも対応します。鍵の受け渡し方法と、残す物・処分する物のリストを事前に決めておきます。
相続した空き家を片付ける前に確認することは?
(1)相続の方針(承認か放棄か。放棄を検討中なら片付けない)、(2)相続登記(取得を知った日から3年以内が義務)、(3)電気・水道の開栓(作業に必要)、(4)火災保険の継続、(5)貴重品・権利証・現金の捜索。これらを済ませてから家財の仕分けに入ります。
空き家の家財を自治体のごみで処分できますか?
福井市の場合、家庭から出る家財は粗大ごみ・燃やせるごみ・燃やせないごみとして出せます。ただし戸別収集は1回5点まで・福井市在住者のみで、量が多いと現実的でないため、施設への持ち込みか業者への依頼が中心になります。家電4品目(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)は家電リサイクル法の別ルートです。
片付けた後の空き家はどうすればいいですか?
売却、賃貸、解体して更地、当面は管理しながら保有、の4つです。福井市には空き家の家財処分費の補助(令和8年度・上限5万円、要バンク登録・契約前申請)や老朽危険空き家の除却補助があります(住宅政策課0776-20-5571)。管理されず放置されて特定空家に該当すると固定資産税が上がることがあるため、片付けと並行して方針を決めます。


