
相続放棄の相談を進めていたら、遺産分割調停や相続財産清算人という言葉も出てきて、「結局どこに申し立てればいいのか」が分からなくなった、ということがあります。手続きの名前が増えるほど、窓口も複雑に見えてきます。それぞれの手続きの解説記事を読んでも、申立先の基準だけは1本の記事にまとまっていない、ということも少なくありません。
実は、申立先の基準は2つのグループに分かれるだけです。相続放棄・限定承認・相続財産清算人の選任は「被相続人(亡くなった方)の最後の住所地」が基準ですが、遺産分割調停だけは「相手方(他の相続人)の住所地」が基準になります。ここでは、この基準の違いと、福井県内の家庭裁判所の所在地を、裁判所の公式案内にもとづいて整理します。各手続きの期限や必要書類、費用そのものは扱いません。手続きの内容を先に知りたい場合は、後半の内部リンクから該当する記事に進んでください。
相続の手続きは、どれも「家庭裁判所」が窓口
相続放棄・限定承認・遺産分割調停・相続財産清算人の選任は、いずれも家庭裁判所に申し立てる手続きです。借金の取り立てや契約トラブルで名前を聞く地方裁判所ではなく、家族・親族間の問題を扱う家庭裁判所が窓口になる点は共通しています。「訴える」ための裁判所ではなく、相続や家族関係の手続きを整理するための裁判所だと考えると分かりやすくなります。
共通しているのはそこまでで、「どの家庭裁判所に」申し立てるかの基準は、手続きによって変わります。次の図のとおり、4つの手続きは2つのグループに分かれます。
このグループ分けさえ覚えておけば、申立先で迷うことはほとんどなくなります。それぞれの基準を、順番に見ていきます。
相続放棄・限定承認の申立先は「被相続人の最後の住所地」
相続放棄の申立先(申述先)は、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。期限や、どこまでの行為なら法定単純承認にあたらないかは遺品整理と相続放棄で解説しています。
限定承認も同じ基準です。裁判所は「申述人は相続人全員が共同して行う必要があります。申述期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です」と案内しています。限定承認のメリット・デメリットや、申述後に続く官報公告の負担は限定承認とはにまとめています。
遺産分割調停だけは「相手方の住所地」が基準
遺産分割調停は、相続人どうしの話し合いがまとまらないときに利用する手続きです。裁判所は「被相続人が亡くなり、その遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用できます」としており、「この調停は、相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てるものです」と説明しています。
ここで注意したいのが、申立先の基準がほかの手続きと違う点です。裁判所の案内では「申立先は相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です」とされています。被相続人の住所地ではなく、相手方(他の相続人)の住所地が基準になります。相手方が福井県外に住んでいる場合は、申立先も福井県外の家庭裁判所になることがあります。相続放棄の申立先(被相続人の住所地)と思い込んでいると、実際の申立先とずれてしまうので注意してください。申立てができる人や必要書類、調停が不成立になったときの流れは遺産分割調停の申立て方法で詳しく解説しています。
相続財産清算人の申立先も「被相続人の最後の住所地」
相続人全員が相続放棄をした、あるいは相続人がそもそもいない場合には、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てます。裁判所は「相続人の存在、不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)には、家庭裁判所は、申立てにより、相続財産の清算人を選任します」と説明しており、申立先はここでも被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。
申立てができる人の範囲や、予納金の目安、選任後の官報公告から国庫帰属までの流れは相続財産清算人とはにまとめています。
福井家庭裁判所・武生支部・敦賀支部・小浜出張所(所在地一覧)
福井県内には、本庁のほかに2つの支部と1つの出張所があります。
| 拠点 | 郵便番号 | 所在地 |
|---|---|---|
| 福井家庭裁判所(本庁) | 910-8524 | 福井市春山1-1-1 |
| 武生支部 | 915-8524 | 越前市日野美2-6 |
| 敦賀支部 | 914-8524 | 敦賀市松栄町6-10 |
| 小浜出張所 | 917-8524 | — |
どの市町がどの支部の管轄になるかは、個別の事情(申立人・相手方双方の住所など)によって変わる場合があり、裁判所の一次情報にも対応表は示されていません。申立て前に、必ず裁判所ウェブサイトの申立書提出先一覧で管轄を確認してください。遺産分割調停のように相手方の住所地が基準になる手続きでは、相手方が県外に住んでいると、申立先が福井県内の家庭裁判所にならないこともあります。
手続きの内容そのものは、それぞれの記事で
申立先が分かったら、次に必要なのは手続きそのものの内容です。本記事ではあえて踏み込みませんでしたが、「いつまでに」「何を」「いくらかけて」進めるかは手続きごとに大きく異なります。各手続きの期限・必要書類・費用・デメリットは、それぞれの記事に詳しくまとめています。
- 遺品整理と相続放棄 期限3か月と法定単純承認の線引き
- 限定承認とは メリット・デメリットと官報公告の負担
- 遺産分割調停の申立て方法 必要書類と不成立後の審判への移行
- 相続財産清算人とは 予納金の目安と国庫帰属までの流れ
- 相続手続きの期限一覧 相続放棄・準確定申告・相続税など期限の一覧
基本情報のまとめ
| 手続き | 申立先の基準 | 詳しい内容 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 被相続人の最後の住所地 | 遺品整理と相続放棄 |
| 限定承認 | 被相続人の最後の住所地 | 限定承認とは |
| 遺産分割調停 | 相手方(他の相続人)の住所地 | 遺産分割調停の申立て方法 |
| 相続財産清算人の選任 | 被相続人の最後の住所地 | 相続財産清算人とは |
申立先の基準さえ押さえておけば、あとは窓口の家庭裁判所に確認しながら手続きを進められます。どの手続きを選ぶべきか、福井県内のどの窓口に相談すればよいか判断に迷う場合は、状況を相談フォームからお送りください。専門家への相談が必要な段階かどうかも含めて、整理のお手伝いをします。
よくある質問
相続放棄はどこの家庭裁判所に申し立てればいいですか?
原則として、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。限定承認や相続財産清算人の選任の申立ても、同じ「被相続人の最後の住所地」が基準になります。
遺産分割調停も同じ基準で申し立てますか?
いいえ。遺産分割調停は、相手方(他の相続人)のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所が申立先です。被相続人の住所地ではない点が、他の手続きと違います。
福井県内にはどの家庭裁判所がありますか?
福井家庭裁判所(本庁・福井市春山)のほか、武生支部(越前市)、敦賀支部(敦賀市)、小浜出張所があります。どの市町がどの支部の管轄になるかは、裁判所サイトの申立書提出先一覧で確認してください。
申立先を間違えるとどうなりますか?
書類の出し直しなどで手続きが遅れるおそれがあります。相続放棄や限定承認には3か月の期限があるため、申立て前に管轄を確認しておくことが大切です。
申立先が分からないときはどこに相談すればいいですか?
まず裁判所ウェブサイトの管轄案内で確認し、それでも判断に迷う場合は弁護士・司法書士に相談してください。


